自分を労わることは甘えや逃げじゃない。むしろ、心身を守りながら成果を最大化するための戦略なのです。
今回の本のご紹介
今回は、著者:鈴木亜佐子さんの『スタンフォード式 自分をいたわる人がうまくいく』をご紹介いたします。
あなたは今、自分の心をすり減らしていませんか?
📍毎日一生懸命がんばっているが、全然疲れが取れない
📍周囲に気を遣いすぎて、自分自身がすり減っていると感じる
📍人に頼ることが苦手で、つい一人で抱え込んでしまう
大丈夫じゃないのに、「大丈夫です。」と言って残業をし、心身を消耗してしまう。
そんな経験、心当たりありませんか?
誰かのためにずっと自分をすり減らしてきた。
限界が近いのに、誰にも弱音を吐けない、そんなあなたにこそ読んでほしい一冊なのです。
この本の学びポイント
本書のテーマは「コンパッション」。
本章で言うコンパッションとは、自分にも他者にもやさしくで現実的に対処する力のこと。
言わば、「自分を守りながら、仲間と成果を出すためのスキル」なのです。
厳しくしなくていい。
自己犠牲しなくていい。
あなたのやさしさによって、持続的な成果を生み出すことができちゃうんです。
そんなコンパッションの技術をこの本を通じて学んでみませんか?
本記事では、コンパッションについて詳細に解説し、自分に向けたコンパッション、そして他者に向けたコンパッション、それぞれの解説をいたします。
この本のピックアップ3選
今回は以下の3点を中心にまとめてまいります。
1️⃣コンパッションとは?
コンパッションについて詳細に解説。
2️⃣自分を守るためのセルフコンパッション
「セルフ・コンパッション」について解説。
3️⃣相手も自分もやさしくできる対人コンパッション
「対人セルフコンパッション」について解説。
コンパッションとは?
まずは、改めてコンパッションについて解説いたします。
具体的に本書では、
コンパッションとは、目の前の苦しみに気づき、それを軽くしたいと考え、最小の一手を置く技術。
すなわち、いたわりを実践する技術と述べられています。
例えば、仕事のミスで納期が間に合わないかもしれないと同僚が落ち込んでいるとします。
そこで、話を聞いて「辛いよね…」「大丈夫だよ」と共感する。
十分いたわっているように思えますが、必要なのはもう一歩。
さらに、悩みを軽くするためにどう「動く」がまで考えるのです。
上述の場合だと、「明日の朝イチに、上長への相談の枠を押さえる。」
すると、相手は明日にきちんと話を聞いてもらえることに安堵し少しでも気持ちが軽くなるのです。
ここで本書で記されている苦しみについてご紹介いたします。
苦しみが増す方程式。それは、
苦しみ=痛み×抵抗感
痛みとは、失敗や不安のこと。
抵抗感は以下の3要素のことをさします。
1️⃣自己批判:「なんでできないんだ」と自分を責める
2️⃣孤立感:「頼ったら迷惑だ」という思い込み
3️⃣反芻:終わった出来事を何度も再生して動けなくなる
失敗や不安が発生し、苦しく感じてしまうのはこの抵抗感に依存しているわけです。
つまり抵抗感を下げることができれば、苦しみは目に見えて軽くなります。
そのポイントが「コンパッション」なわけです。
上述の例だと、
【痛み】
仕事のミスで納期が間に合わないかもしれないという不安
【抵抗感】
「どうしたらいいんだ…」と孤立してしまっている
【抵抗感を下げるためのコンパッション】
同僚の悩みを聞き、明日の朝イチに、上長への相談の枠を押さえるようにアドバイスする
このように苦しみに対して、最小の一手を決めて区切りをつける。
これって、同僚の悩みを聞いている側もそこまで負担になっていないんですよね。
つまり、コンパッションとは相手だけでなく、悩みを聞く側の負担をも守る技術でもあるのです。
【Point】
コンパッションとは、境界線を引く・焦点を絞る・小さな行動に落とし込むという「行動の設計」。
自分を守るためのセルフ・コンパッション
セルフ・コンパッションは、自分を甘やかすことではありません。
疲れたから仕事を放りだしたり、ほしいものを衝動買いしたりすることではないのです。
セルフ・コンパッションは、「長期的に走り続けるための戦略」。
自分を追い込みすぎず、必要なところでブレーキをかけ、回復と行動を両立させるための戦略的スキルです。
前章では、同僚の悩みが対象でしたが、セルフ・コンパッションは対象が自分になっただけ。
自分の苦しみに気づく
↓
苦しみを軽くしたいと考える
↓
そのために小さな行動をする
この流れを自分自身に適用するのです。
・「完成しなかった」ではなく「今日はここまで進んだ」と成果を見直す
・「この部分だけ助けてください」と短く伝える
・「今日はここまで!」とパソコンを閉じ、物理的にモードを切り替える
このように、セルフ・コンパッションは「抵抗感」を和らげ、苦しみを実際に軽くする行動習慣なのです。
セルフ・コンパッションが高い人ほど、「もうだめだ」と思い込む思考が減り、痛みを受け入れ、日常的なセルフケア行動が増えると本書に記載されています。
つまり、セルフ・コンパッションは苦痛を和らげるだけでなく、「次の行動を取れる力」を生むのです。
【Point】
セルフ・コンパッションを実践すると、回復する時間と再び動ける力が得られる。
相手も自分もやさしくできる対人コンパッション
対人コンパッションは仕事場以外でも活用できます。
今回は家族を例に挙げてみます。
家族は、私たちの人生で最も近い存在です。
だからこそ、相手の感情がダイレクトに伝わってきて、こちらの気分にも影響してしまいます。
例えば、以下の状況の場合、あなたならどうしますか?
仕事から帰ってきたら、パートナーがソファーでぐったりしている。
部屋は散らかっており、空気も重たい。
もしかすると、正しい対応を探そうとしませんか?
「励ましたほうがいいのだろうか」
「問題を聞き出して解決すべきだろうか」
「そっとしておくべきだろうか」
でも実は家族へのコンパッションにはもっと大事な前提があります。
それは、
家族の感情は”直そう”とすると遠ざかる。”そばにいる”と、自然に緩んでいく。
・静かに隣に座る
・一杯のあったかいお茶をそっと置く
・「今日はしんどかったね」と短く添える
解決には一切踏み込んでいない。
けれども、「あなたの感情はここにいて大丈夫だよ」
という許可がとても大きな力を持つのです。
必要なのは、解決ではなく、感情をそのまま受けとめることです。
本書では、家族以外にも友人、同僚、部下へのコンパッションについても触れられています。
【Point】
対人コンパッションは「何を言うか」より「どう関わるか」の方が、影響が大きい。
実生活の応用
セルフ・コンパッションの章で以下の流れをご紹介いたしました。
自分の苦しみに気づく
↓
苦しみを軽くしたいと考える
↓
そのために小さな行動をする
本書では、この流れを自然に誰でも実践できる形に整理されたBRAINメソッドについて紹介されています。
BRAINとはそれぞれ次の頭文字から成り立っている言葉です。
Be Present(今ここに戻る)
Recognize(感情に気づく)
Allow(感情を許す)
Investigate(探る)
Nurture(育む)
実例と合わせて簡単にまとめてまいります。
今回の例は、現在課長職を務める女性管理職。
近く部長職の昇進試験があり、周囲からも期待をされていました。
しかし、日に日に重圧を感じ不安や焦りが頭を占めるように。
時には、プレゼン中に部下からの質問に答えられず、思わす声を荒げしまったことも。
「このままでは評価どころか信頼まで失ってしまう。」
そうして、BRAINのステップを試してみたのです。
Be Present(今ここに戻る)
まずは思考の嵐から抜け出し、「今ここ」に戻るのです。
一番分かりやすい行動例が、呼吸。
一例として、4秒吸って6秒吐く。これを3セット行ってください。
そうすることで、意識を「今ここ」に戻すというスイッチとなるのです。
Recognize(感情に気づく)
「今ここ」に戻ってきて次に行うことは、心のサインの正体を確かめることです。
言ってしまえば、今抱えている感情に名前を付けて認識させるのです。
本例の場合だと、彼女は今の感情を「私は今、強い不安を感じている」と言葉にしました。
Allow(感情を許す)
感情を許すとは、感情そのものの「存在」を認めることを指します。
大事なことは、決して追い出そうとせず受け止めてあげること。
本例の場合だと、彼女は強い不安を否定せず、「いていいんだよ。」と言葉を添えました。
Investigate(探る)
感情を許したことで、いったん気持ちを落ち着かせることができました。
ここからは感情の奥にある「本当の声」を聞いていくのです。
ポイントは、自分の気持ちを深掘りしていくことです。
本例の場合だと、「この不安は、私に何を伝えたいんだろう?」と考えることからスタートします。
そして浮かび上がってきたのは、「ちゃんと評価されたい」という気持ちでした。
でも、そこで終わらずさらに掘り下げてみると、
・女性だから昇進しづらいという周囲の目を覆したい
・自分の努力を正当に見てほしい
という切実な願いでした。
彼女は不安の奥にある本当の声に気づけたことで、胸の奥にあった硬い塊が少し緩む感覚を味わいました。
不安って単なる障害ではなく、裏を返せば彼女が守りたいものを指し示すサインなのです。
苦しみが軽くなったことで、彼女は行動を少しづつ変えていきました。
完璧を目指すのではなく、
「今日の会議でひとつだけ、自分の意見を明確に伝える」という目標を立てました。
こうして、小さな成功体験を積み重ねていったのです。
Nurture(育む)
最後に、意図あるセルフケアを通じて回復力を高めます。
・帰宅後にお気に入りのクラシック音楽を聴く
・今日あったことを記すための日記をつける
このように、リラックスする方法を取り入れることで、情報過多の状態のリセットする。
日常の中でちょっとした工夫を取り入れるだけで、驚くほど頭と心が軽くなるのです。
以上がBRAINメソッドとなります。
BRAINメソッドに従うことで、自分の苦しみ(感情)に気づき、そこから小さな行動を起こすまでの工程ができあがるのです。
本と照らし合わせた実生活のリアル
相手も自分もやさしくできる対人コンパッションの章は家族に関して取り上げました。
それはやはり、私自身がうつ病の妻を支えているから。
本書に書いてある通りでした。
家族という近い存在だからこそ、正解を探そうとする。
その行為がどれだけエネルギーを消耗することとなるか。
でも本音を書きますと、
ただそばにいるだけでも辛い時もあります。
仕事から帰ってきて、メンタルが不調な妻と過ごす。
そばにいて話を聞くと決めても、相手の感情の波に飲み込まれてしまいます。
感情を受け止めすぎてもキャパオーバーになる。
そんな経験をしてきました。
詳しくはnoteでまとめております。
良ければこちらもあわせてご覧ください。
【うつ病のパートナーが共倒れになる危険性】
https://note.com/yuu_dialy/n/na107a3505a9e?magazine_key=md8f6123e2a70
でも、こういった経験をしてきたからこそ、言いたいことがあります。
もし家族が何か不調そうだな、ソワソワしているなと思ったら、上述の家族のコンパッションを実践してほしいのです。
心の病を患ってしまう前に、防衛策はきちんとあります。
その一つが「解決ではなく、感情をそのまま受けとめてあげること。」
大丈夫です。
まだ心が疲れて切ってしまう前の状態であれば、非常に有効的なものだと僕はそう思っています。
そのために、対人コンパッションの章は家族に関して取り上げさせていただた次第となります。
まとめ
コンパッションとは、目の前の苦しみに気づき、それを軽くしたいと考え、最小の一手を置く技術。
我慢が美徳とされてきた日本。
だからこそ、自分をそして相手をいたわり、やさしくすることが苦手だという方も多いと思います。
けれども本来、人間は支え合うもの。
本当はみんな、もっとやさしいはずなのです。
本書を通じて、自分と相手、あるいは仲間を大切にする小さな一歩を始めてみてほしいです。
その一歩が、人と人を通じ、さらに成果に導くことができますから。
そしてその始まりは、たった一言の「大丈夫?」からなのです。
さらに!!
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